共働きだった両親。
"ただいまーっ!"
学校から帰ると"おかえり"と言ってくれる人はいなかったけれど、私は寂しくなかった。
電気一つついていなくたって。家の中がシン…と静まりかえっていたって。何処かの家で楽しげにテレビを見ている団欒の声が聞こえてきたって。
平気だったのは────確か……、
"いーろはっ!"
────私は、ハッと引かれるようにして顔をあげた。一瞬、何か違う声が混じった。
「ち、父と母がいつも頑張ってくれていることを知っていた、から…」
けれど、私は無意識に掻き消した。心臓が妙な脈を打ったように感じたからだ。
「彼らが帰ってくると少し疲れた顔をしていることにも気づいていたし、それを隠そうとしていることも分かっていた、んです」
