ナミダ列車








「国の特別史跡、特別天然記念物にもなってるんだよ。寛永2年頃から松平正綱公が、約20年の歳月をかけて植栽して東照宮に寄進したものらしくてね、とっても幻想的なんだ」

「杉並木…、ああ、思い出しました!あれもとっても絵になるというか、惹かれるものがありますよね」

「うんうん。約12,500本が現存していてギネスブックに乗るほどだ。大迫力に圧倒されるこの感覚を、つい誰かに伝えたくなる」

「ああーいいなー、はやく着かないかなー。あとはやっぱり陽明門(ようめいもん)は絶対に見たいです」

「豪華絢爛で綺麗だよね。ちょうど大修復が終わった頃だし、タイミングもいい」

「えっ?もう終わったんですか?」

「うん終わったよ。国宝「陽明門」をようやく一般公開したのはニュースになったよね」

「そうだったんですね…知らなかった。先月行った時は修復中で見れなかったから、なんだかラッキーです!」





寺社仏閣を訪れた時に運悪く修復工事をしていると少しガッカリするものだと思う。

言葉では言い尽くせないほどの煌びやかな全貌を見たいと思って来たのに、なんだ…って。

確か去年からスタートしたんだよな…。今回はめちゃめちゃはやく終わったんだな…。




「今度こそ、ちゃんと見れたらいいね」

「はい!」


やんわりと目を細めるおじさんに私も満面の笑みをこぼす。

ていうか、高校生の女の子が日光の話でこんなにも盛り上がるものなのだろうか。もしかして私って変?

ハルナさんなんてぼーっと外を眺めて全然話を聞いてないし、とムッとしていると隣から「一つ聞いてもいいかな?」なんて声がかけられてくる。





「随分と日光を好きみたいだけど…、そうなったきっかけとかって何かあるのかな」