ナミダ列車









ハルナさんもハルナさんで陽気に鼻歌なんて歌っちゃって、……ってああ、今度は勝手に私のチョコを食べているし。

他人からすれば"そう"見えてしまっても仕方がないようにも思えるから、さらに溜息が出てしまう。





「東照宮の近くにはね、徒歩圏内に日光山輪王寺(りんのうじ)と日光二荒山(ふたらさん)神社っていう2つの有名なスポットあってね、話しながら回るのもまた風情があっていいよ」

「あ、知ってます知ってます!あんなに由緒のある寺社仏閣が集合しているだなんて、すごいですよね…。あの荘厳な感じがたまらなく心くすぐられるといいますか、本当に絵になるんです」

「おや、よく知ってるねえ」

「ほんと、我ながら18の高校生が話す内容じゃないですよね」

「18…?」

「はい。って、ああ、どうでもいい情報だった…」




つい日光のこととなると夢中になってしまう性分らしい。

久々に語ることができたから無性にワクワクしてしまったんだ。





「……いや、…大人っぽいと、思ってね」


すると、眉を下げているおじさんは、ハルナさんと同じようなことを言ってくれる。

まただ!また大人っぽいって言われた!いけないいけない、単純にも舞い上がってしまうところだった。