「素敵な話じゃないか。僕は応援しているよ」
「…っ!」
「ありがとうございます。必ずや彼女のハートをゲットしたいと思います」
……にしては、知らない人とこんなに堂々と話しているし、この人、本当に掴めなさすぎる。
あーもう、車両変えたいけどボックス席なんて他に空いてないだろうし、日光までずっと立っているのもしんどい。
どうして私はここに座ろうとしてしまったのか、悔やむところだ。
「では、日光の話に戻ろう。良き旅の日に。僕の好きな場所をおすすめしてもいいかな?」
ギュッと口を結んでいると、柔らかく頬を引き上げたおじさんはとても丁寧な提案をしてくださる。
ありがたいが、多分、ハルナさんと行くにベストな場所…って考えているんじゃないかと気が気ではなかった。
