「そうか、僕には素敵な恋人同士に見えたんだけれど…余計なお世話だったか」
おじさんは眉を下げて小さく笑っていた。
私を見て、それからゆっくりとハルナさんを見る。ハルナさんも丸眼鏡越しにおじさんのことを見ていた。
数秒、視線を合わせるとハルナさんはまたコロコロと笑いはじめる。
「俺としては光栄ですけどねー」
「ちょっと!」
「やっと回ってきたチャンスだし?」
「……なんですかそれ…」
カーブに差し掛かり、電車が揺れる。
「俺はね、今回に…かけてんの」
パアアアア…!
反対側の路線を走る電車とのすれ違いであまり詳しくは聞こえなかったけれど、ハルナさんはそう言っていたと思う。
口説き?
ずっと私を狙ってたって?
いやいや、あの接近方法は些かヘタクソすぎでしょう。あんなの誰だってビックリするし一歩間違えればドン引きする。
コミュ障っていうのは本当だったのか。
