ナミダ列車








「ハハハ、いいですね。日光デートですか?」

「そうです!」

「違います!」





グン、と前のめりになる身体。

おじさんの問いかけにハルナさんも私も即答したのだが、…いやいや、冗談じゃない。しかもデートをするような仲じゃないから。





「おや?仲睦まじくて微笑ましいと思っていたのですが」

「ありがとうございます!」

「いやいや違いますって!この人とは今日、ここで、はじめて会ったんですから!いや…会ったっていうか一方的に声をかけられたっていうか…」




ああ、もうハルナさん、肯定するのをやめてほしい。

あなたにとって私がどう見えてるのかなんて知らない。"覚えてて"だなんて、勝手に変なことを押し付けないでよ…。




ハア、と溜息をつく私は丸眼鏡を装着したハルナさんをシッシと払う。