思いつきで手帳をひっくり返してみてハッとした。
「確かに女の子だ」
逆さにしてみてビックリする。耳のすぐ下のところまで髪を伸ばしている黒髪の女の子の似顔絵にちゃんと見えるからだ。
おじさんの眉毛だと思っていた部分は女の子の口だった。ハルナさんからは確かに、女の子の絵にしか見えないだろう。
「なんかちょっとトリックアートみたい…」
「トリック?」
「意識して描いてるわけでもないのに、こんなこともあるんだなあ…。これは、違うの。担任のハゲ先生で…」
「ハゲ?」
「そうです。多分、この時の私は相当暇だったんですよ」
それに、女の子の絵だったとしても誰のものなのか見当がつかない。
自画像…ではないな。私の髪は胸元まで伸びた黒髪ワンカールだから。
「にしても…、我ながらヘタクソ…」
2ヶ月のことだというのに、何を思ってこんな落書きをしたのかは曖昧だ。フウ、と息を吐いてとりあえず手帳は横によけて置くことにする。
