「なにそれ、可愛い絵だねえ」

「……勝手に見ないでください」



いつのまにか手帳に影が降りてきていることに気づき、それを慌てて自分の胸に引き寄せる。

シゲシゲとした視線からは、この瞳がさっきまで涙を流していただなんて到底想像もできないほど。

ハルナさんが覗き見ていた。





「隠すなよー」

「日記なんだもん。他人に見られていい気しません」

「えーケチー」

「ケチもへったくりもないですっ!デリカシーなさすぎ!」




不満そうに唇を尖らせているハルナさんは、ジーンズを擦らせてのそりと脚を組む。





「中身は見てないから安心してよ」

「変わらないから!」

「大丈夫大丈夫。女の子の似顔絵が見えちゃったーとか思ってないし」

「ちょっと!やっぱり鮮明に見えてんじゃないですか!っていうか違うし…これは…」




だるっとした口調のままにハルナさんはまた勝手にストローに口をつけてイチゴオレを飲む。もういいや、いちいち突っかかるの疲れた。





「これはハゲ先生の落書きで…」

「先生?」

「そうです。これの何処が女の子……って、あ…」