「……ヨ、タ……っ」
なにがオニーサンだ。
なにが面識ない、だ。
私は彼に酷いことを言った。あなたには関係ないだなんて、よくもそんなことが言えた。
「ごめっ……」
敬語なんて使って。赤の他人だとばかりに突っぱねて。
ヨータは私に会いに来てくれたんだ。それなのにどうして…、どうしてこうなってしまったんだろう。
「……ヨー、タっ…」
言葉を紡ごうとするけれど唇が震えてしまってどうにもならない。
雫はとめどなく流れ落ち、このボックス席はまたしても涙で染まった。
苦しい。痛い。罪悪感と、そして…哀しげに瞳を細めるヨータを見て怖くなった。
「泣かないで」
彼はそのまま指を伸ばすと、壊れ物を扱うように丁寧に私の涙を拭ってくれる。
ひどくほっそりした指だった。
ヨータはまるで私という存在を確かめるように、私の頬を自らの手のひらで包みこんだ。
