「……ヨータっ………」 "東武日光行き"の電車の中で壊れたように涙を流す私は、焦点が合わない瞳を大きく揺らしていた。 さまざまな情報が絡み合い、頭の中がうまく整理しきれない。 今がいつで、ここがどこで。 私とは何なのか。 でも、ただ一つだけ分かるのは────、 「……おかえり」 春名 陽太(はるな ようた)。 包み込むように優しげに、そしてもの寂しげに笑っている目の前の彼が────あの、初恋のヨータだと、いうことだけ。