「あ、ごめん。あのベンチで休もっか!」
慌てた私にヨータは首を振った。
「いや、へーき。女の子の前で格好悪いこと言っていられないな」
「…おっ」
女の子…!
その部分にやけに反応してしまった私をそのままに木道を歩きはじめるヨータ。
彼は心地よい風を悠然と浴びながら、一面に広がる大湿原と堂々聳え立つ男体山を眺めていた。
なにをしても絵になる男の子だと思う。
このワンシーンを描きたい衝動に駆られるくらいに、彼からは惹かれるなにかを感じる。
綺麗だった。透き通る色。遠くを見る瞳。それはもう、今に空気に溶けてしまいそうなくらいに。
ヨータ。
私はね──……。
