そして、日光の街の懐かしい景観を楽しみながら私たちはさっそく日光東照宮に向かった。広い参道は趣があり、訪れる者をワクワクさせる。
あの有名な徳川家の家紋を見たら全身逆毛が立った。
…のだけれど、
「去年からみたい」
「…そんなあ」
今日の日付が記入されている参拝券を貰ってから境内へ向かって、少しだけ肩を落としてしまった。
これも歴史的建造物を維持するために必要なことだって分かっているんだけど…。
豪華絢爛な陽明門は残念ながら、去年から始まった大修復の真っ只中で全貌を見ることは叶わなかったんだ。
「6年かかる…ってことは、あと5年?長!」
「まあ、しょうがないことなんじゃない?」
ヨータは妥当なことを言ってくる。
「そっか…。じゃあ、修理が終わった時にまた見に来るしかないってことか」
「……」
「…ヨータ?」
けれども、私の呟きに反応してくることはなく、
「……そう、だね」
ただ切なげに瞳を揺らしてきたことに、私は首を傾げずにはいられなかった。
──また、東照宮の本地堂の天井は「鳴竜(なきりゅう)」と呼ばれていて、これもまた有名だ。
その名のとおり、天井には34枚のヒノキ板に描かれている縦6メートル横15メートルものの竜が住んでいる。
この絵がまたド迫力で、ヨータなんて口をポカンと開けて見上げていた。
それに、竜の頭の下で拍子木を打つと、「キィーン」という甲高い音が反響して竜が鳴いているように聞こえるのだ。
なにもかもが神秘的。異空間。ちなみに、竜の胴体や尻尾の下で拍子木を鳴らしても何も聞こえないのだと、近くにいたツアーガイドさんが説明していた。
