──そんな旅を、ヨータとたくさんしたいな。
…………
「神橋通って東照宮は絶対でしょー?で、その次奥日光行きたい。竜頭ノ滝と戦場ヶ原、中禅寺湖も眺めたい!」
「へえ、すごい回るね」
「あ、駄目?!」
それから、観光マップ2014を開く私は俄然張り切っていた。
だって久しぶりだったんだ。
頻繁に親に連れていってもらってるとは言っても、最近は部活やら勉強やらでなかなか行けてなかったから。
それに今回は好きな人であるヨータと一緒なのだから余計意識する。
最後には中禅寺湖畔で告白を────……って、なに考えてるんだ。
「……いや、ううん。この際俺も、行けるところまで行きたいって思ってる」
恥ずかしい、と口を結んで顔を上げるとヨータは微笑を浮かべている。
甘酸っぱく、哀しく、
それはどことなく言葉を噛み締めている様子だったが、無駄にヨータを意識してしまっている当時の私にとって到底推し量れるものではなくて。
「チョ、チョコいる?!」
手持ち無沙汰にお菓子袋を突き出した。
「チョコ?」
「うん!遠足みたいでなんか良くない?」
「……ああ、いいね。じゃあ貰おっかな」
「ん、どーぞ」
……いけない。いけない。平常心。
スゥ、ハーと深呼吸しなきゃやっていられないくらいに告白というものは重かったし、それに正直、ヨータが私に伝えたい内容ってのと気になってしょうがなかったんだ。
包装を解いてポイッと口に入れる。
甘くて、でもちょっとビターなチョコレート。まるで恋の味、みたい。
目的地にたどり着く前、まだかまだかと待ち焦がれる電車の中のソワソワ感と、恋心が届きそうで届かないじれったさは似ている。
だからこのアーモンドチョコは、ヨータと私の旅の味。
ほら、特定の時期によく聴いた曲ってあったよな…みたいな感覚。これは思い出の味になるような気がした。
……のに、
────ゴリ、ゴリ、ゴリ。
「えっ?!」
忘れてた。ヨータはそれ以前に肝心なことを理解していないのだ。
