そして、小学校を卒業して中学生になった私は美術部に入部した。下野教育美術展ではじめて金賞をとったのもこの時で。
「もっと物事を深く考えなって、口を酸っぱくして言ってんべ?」
お世話になっている絵の先生の指導を仰ぎながら私は邁進していた。
大賞にはまだまだ届かなかったものの、そのほかの美術展でも私の作品がポツポツと入賞していって、壇上で表彰されることも多くなった。
「ストロー噛むようなヤツに負けてられないな」
ヨータは憎まれ口をたたきながらも私の作品の入賞を喜んでくれたし。
ヨータはもちろん陸上部。その俊足は中学生レベルでも通じるらしく、やっぱりぶっちぎりで速かった。
切磋琢磨して、互いを刺激しあって…————。
「ヨータは?この前の地区大会どうだったの?」
「3位入賞」
「すご!県大会出場じゃん!見に行きたかったなあ」
「ありがとう。でも恥ずかしいから見にこなくていいよ」
「えー、なんでー」
「なんでも。ガチなとこ、いろはには見られたくないの」
口先を啄めているヨータはツン、と私のおでこを突っぱねた。
痛…とその部分を摩る私を覗き込んでくるヨータに胸がキュッ、と鳴る。私は慌ててそれを隠した。
焼けた小麦色の肌。柔軟剤の香り。一緒にいすぎて、もう私の生活の一部になっている男の子。
……なんだよ、もう。
それにいいじゃん、ガチ。
中学生という時期は思春期真っ盛りだ。
変にカッコつけたがる男子の気持ちは分からなかったけど、でも、それくらいヨータが陸上に全力を注いでいることが知れて嬉しかった。
……頑張って。
私も頑張るよ。
それからこっそりと県大会を見にいったのは秘密だ。カッコよかった。つい呼吸を忘れるほどに。
彗星のようにトラックを駆け抜けるヨータが真っ白いゴールテープを切る瞬間────私の心はグッと、掴まれた。
熱気がこもる歓声。
力強く地を踏みしめる足。
……泣きそう。
きっとこの時にはそうだ。
夢に向かって一生懸命になっているあなたを好きになっていた。
