ヨータは私と同い年の男の子。親同士が仲が良くて小さい頃から一緒にいる。
「いろは!追いかけっこしよ!」
「えー!今日はお絵かきの日ー」
「ねえー追いかけっこしよーよー!」
「だからお絵かきの日なのー!しかも追いかけっこって2人でやって意味あるの?」
「あるよ!俺がいろはを追いかけて捕まえる!ほら楽しい!」
「ヨータは足速いもんね。すーぐ捕まっちゃうんだ」
「へへっ、気持ちいいんだー、走るの。風がビューンって!それにいろはもスゴイって言ってくれるし」
彼は、事あるごとに追いかけっこをしようと誘ってくる天真爛漫な少年だった。
運動会のかけっこではいつも一番をとっているし、休み時間にみんなで遊ぶ時なんてそれこそ大活躍をする。
──彼とはずっと一緒だった。
「おとーさん!あのねあのねヨータがね!」
お父さんが帰ってくると決まって口にするのは絵の話かヨータの話だったし。
「なんだ、せっかく日光ウンチクを用意してきたのに、今日はヨータくんのお話か」
お父さんは瞳を優しく下げて頭を撫でてくれる。
……だって、ヨータは私の憧れだったんだ。
自身に満ち溢れている姿がかっこよかった。
ヨータのように、なにかに秀でている人間でありたい。だから私もお絵かきを頑張りたいと思ったんだ。
