同情も混じっているのだろう。切なげで、悲しげで、なんとも言えない表情を浮かべているエリさん。
ああやっぱり。気遣いをさせてしまっている。
「いろは……、ちゃん、だっけ。凄いよ。人のためにそこまで必死になれるだなんて。だって、それって案外できないことだもん」
「…そう、ですかね…」
「そうだよ。その子とっても辛かったと思う。やりたいことができなくなるのってさ、悔しくて、虚しくて、挙句には自分に腹が立って…本当に本当にしんどいんだよ」
不規則に揺れる車内で、エリさんの声は物寂しそうに聞こえた。
ハルナさんは依然として聞いているのか聞いていないのか判別できない態度で田んぼ風景を眺めている。
「私もソフトやってたからさ、分かるんだ。ピッチャーだったんだけどね、私も大事な大会の前で肩壊しちゃった時があって」
「…野球肩」
「そうそう。よく知ってるね!成長期だったこともあって身体も不安定だったみたい。どうしても大会に出たくてさ、痛みを堪えて投げてたら、ある時激痛が走って肩が上がらなくなっちゃったんだ」
