ナミダ列車









高校2年は大成の年だった。

小さい頃から続けてきたものがやっと実った年。




その頃の私は、憧れの高校生国際美術展で受賞、願わくば内閣総理大臣賞獲得を目指して本腰を入れていた。

放課後になると真っ先に美術室に駆け込んでいったし、これっていうアイデアが沸かない時には芝生に座ってグラウンドを眺めていた。


運動部のランニングの掛け声が聞こえる。

野球部、ソフト部、サッカー部、テニス部、それから…陸上部の練習風景に目をやって、さらにたった一人の男子部員にフォーカスを当ててしまう。





私には同い年の幼馴染がいる———。

悩んでいる時にはいつも打開策を提案してくれた人。美術部と陸上部、やっていることは違く手も本質は同じだ。切磋琢磨をして鼓舞しあっていた。