"よ"、そのあとに何か別のことを言おうとしたんじゃないかと思ったはほぼほぼ勘だった。
「竜頭ノ滝、ね…絶対行く!」とにこやかな笑みを見せるエリさんの正面で、サトルさんは所在がなさそうにペットボトルの蓋を開けていた。
「あ、は、はい!ぜひぜひ!ご迷惑じゃなくてよかったです」
「迷惑とかないよ!お茶屋さんいきたくなっちゃった。滝見ながらとかなんかいいよね」
「そうなんです!あそこは本当にいい場所なんです。特にこしあんのお団子が私は好きで…」
ぶっちゃけ、一皿では足りない時がよくあるくらいだし、ああ…日光についたらお団子が食べたい…。
「滝見てるよりも団子食べてる時間の方が多いくらいだよね、実際」
だけど、この人は相変わらず飄々と割り込んでくる。会話に入ってくるのか、入ってこないのか一体どっちなんだ。
幸せな気分に浸っている私に構うことなく、しれっとした顔のまま分かったような口をきいてきた。
