ナミダ列車










「…っ」




丸眼鏡の奥で細められている瞳に、どういうわけか胸が騒ついてしまう。

ハルナさんだ。

頬杖をついたままゆったりと見据えてくる彼は、喉の奥で小さく笑っていた。










「初対面なのにいきなりオタ知識披露されたら驚くって、普通」

「オタって…!」

「……ですよね?」






しかもあろうことか貶してくるし。

「ていうかまた勝手にイチゴオレ飲まないでください!」と突っかかる私に、「ストロー噛むのやめたらいいよ」と憎まれ口を叩くハルナさん。

だけど、あくまでも確認を取るような様子でこの時はじめてハルナさんは、エリさんとサトルさんと顔を合わせた。







…ガタンゴトン。





「……ヨ、…」

「……」


エリさんもサトルさんもハルナさんのことを無言で見つめ、開きかけていた口を閉ざし、また開く。




「…ないですよ〜!そんなことないです。めっちゃ助かりました!」