「ちなみに明日ってお時間に余裕ある感じですか?」
「あ、うん。1日たっぷり回れるよね?サトル」
「ああ、他の予定は何もない」
そんな二人を視界の端で捉えながらも観光マップを舐め回している私は、もはや日光オタクだ。
……なるほど、
「じゃあ、東照宮に行った後に奥日光に行くルートをおすすめします!」
ギュッと拳を握ると、ハルナさんが横目を向けてきたような気配を感じた。彼は、もしかしたら気にしているのかもしれない。
奥日光の風景をちょっと思い出そうとしただけなのに、涙を流してしまった意味不明な私のことを。
「……で!その奥日光のおすすめスポットなんですけど!」
……でもでも、ここは絶賛幸せいっぱいなお二人がいる場。
湿っぽいことはナシだ、ナシ。
