……って、
なにハルナさんのことを見ちゃってるんだ。
独特な雰囲気を身にまとったまま、自然風景にぼんやりと眺めている彼から慌てて視線を逸らす。
それと、ごく自然な流れでエリさんの敬語が取れていた。
さっきのさっき隣に座ってきたような、まったく面識のない人相手だから説得力がないのだけれど、こっちの方が彼女っぽいような気すらした。
「私、高校の時は部活馬鹿でね。オシャレだとかそういうのはなーんにも。ソフトボールのことしか考えてなかったから、少年だと間違えられるくらいで…」
「…そう、だったんですか」
「髪なんて今より短かったし。ベリーショートだよ。ベリーショート」
「そこらの男子よりも短かったよな。マジで女のカケラもなかった」と、さらにサトルさん。
でも、なんだか…いいな、って思った。
私もいつか、誰かとこんな風に…。
白い歯をチラつかせて小馬鹿にしている彼と、気に入らないとばかりに眉を顰めているエリさんの関係が、私にはキラキラ光って見えた。
「ねえ、なにか部活やってたりする?」
私の高校時代もエリさんのものとさほど変わらない気がする。私は絵を描くことに明け暮れていた。
"変わらない日常"、"その連鎖"、"中身のないフワフワした時間"。
じゃあ、一体…これは何に対するものなのか。
