普段はこんなにもてはやされることがないから照れてしまう…。

もっと大人っぽく見えたんだろうか。

ボブヘアを可愛らし気げに揺らしているエリさんは、さらにペタペタと私の顔を触ってくるのだからつい硬直してしまった。




「あの…」

「…」



エリさんは視線を落として口を閉じている。

初対面の人にそんなにギュウギュウ触られて続けて、私、どう反応すればいいのか困りものなんですけれど…と、ハルナさんをうかがっても思った通りだった。



こっちの会話に介入することはなく、外の景色を眺めているだけ。

毎回毎回、ボックス席に座ってくる乗客を無言で受け入れ、そして彼らが涙を流している光景にも眉一つ動かさない。


それが自然な成り行きなのだと理解しているように。

まるで、私たちの絡みそれ自体が終わるのを待っているように座っているのだ。




「あ、いや!私の高校時代ってこんなだったかなって思ってさ」