「そ、そうなんですね…。ハハ、私、いつも通学で下りしか使わなかったから気づきませんでした…」
しかも、つい最近だ。4月に大々的なダイヤ改正があっただなんて。
……うっかりうっかり。
困ったように眉を下げていると、
「……え?」
思わず溢れてしまった、というようなエリさんの声が耳に入ってくる。同時に何かを躊躇った、重々しい視線を感じた。
エリさんもサトルさんも、何かの糸がパチンと切れたように。何故か深妙な表情で私のことを見つめていたのだ。
「…学生、さん?」
「はい。高校生です」
「こう、こうせい…」
……けれど、それも一瞬だった。
すぐにパアアアと明るい顔に戻すと、「随分垢抜けたジョシコーセーさんですね!」エリさんはあろうことか抱きついてきて。
