ボックス席に座って来た乗客の人たちとたわいない話をするってだけでも、私の心は成長する。

それがとても心地よい。自身を省みて、且つ他人に知ってもらうことは、日常から非日常への入り口のようにも思えた。





停車駅を通過してゆくごとに、私は心安らかになった。

と、同時に、新しい自分が更新されていっているようにも思えたし。なんか、いいな…こういうの。






「エリ。またそうやって誰にでも声をかけて」

「あら、いいじゃな〜い。今日はおばあちゃん家に顔出さなきゃで、決める暇ないんだし、今のうちにいいスポット教えてもらった方が効率いいじゃん!」

「……そうだけど…」

「んね!お願いします!教えてくださいませんか!」