「あのっ、織田君っ……」

半分パニックになりながら織田君に声を掛ける。
織田君はそんな私に、至極冷静に答えた。

「帰ろ」

「は、はいっ」

セリフ、いらなかった……。
恥ずかしい。





そうして、私と織田君は人一人分距離をあけて歩き出した。
校門を出て、駅まで歩く。
その距離は10分もかからないぐらい。


だけど、何を話せばいいのかな。
高校2年生になるけど、まともにつきあったことない寂しい恋愛経験値。
織田君はつきあったこと、あるのかなぁ。


高校入学してからは、そういう話は聞いたことはないけど、告白されたという噂はちらっと耳にしたことがある。

……と、いろいろ考えるが、沈黙は続くばかりで、いよいよソワソワしてきた。