エイスケは身動き一つしないアカリの痩せた手に、そっと触れた。


暖かい。
まだ、生きてる。


一度も話したことない、顔すらもよく知らなかった彼女。


でも、自分が少しでもこの子の励みになるのならと、エイスケはアカリの手を強く握った。


「いつまでも、見てるだけじゃつまんねーだろ?起きて、声、聴かせろよ」


小さく話しかけた。
その時。


あの視線…。


背後にまた視線を感じた。


ゆっくり振り返ると、そこにはさっき学校でみたままのアカリの姿。


ただ、表情が違った。
穏やかな笑みを浮かべた柔らかい顔。


可愛らしい笑顔でエイスケを見ていた。


「……早く、戻れよ……」


エイスケも笑顔で返した。


その言葉を言った瞬間、ふっと彼女の姿が空気に溶けるように消えた。


と、微かにエイスケの手の中、動いたアカリの手の感触。


ばっと振り返れば……。


微かに彼女の瞼が震えだした。


「動いた……!」


エイスケはその場を立ち上がり、廊下へ飛び出して行った―――。









      END

なんか…失敗した。