――エイスケはある病室の前に一人、立っていた。
ドアの横にはタマダアカリの名札。
ノックしたが誰も中にはいないようだった。
そっとドアを開け、病室へ入りベッドへ近づいた。
白い顔で目を閉じ眠る少女。
鼻や口、腕、いろんな所から管がのびている。
この子だ…。
エイスケが廊下で見た女子生徒が目の前で横たわっていた。
あれは…眠ってるコイツの魂?霊?
不思議と怖くはなかった。
彼女は俺に何か言いたかったのか…。
「なぁ、あんた俺に用があるんだろ?いつまでも寝てないで、目ぇ開けろよ」
さっきアカリの友達がエイスケに告げた言葉――。
“彼女ね、トキエダくんのことずっと好きだったんだ。よくアナタの話しながら顔赤くしてた…。
もしかしたら、アナタが来るの待ってるのかもしれない。”



