「サエコ、お願いがあるの」


ピタリと口笛を止め、私を見る。


「キスの練習させて」


唐突な私の台詞に、キョトンとした顔のサエコ。


数秒間の沈黙のあと。


「いいよ」


「ありがと」



    ***



こうしてまんまとサエコの唇を奪うことに成功した私。


―――次はどんな理由をつけてキスをしようか。







     《END》