それから毎日毎日、アベカワは私の牛乳を飲んでくれるようになった。
なんで?
そう疑問に思いながらも、牛乳を飲まなくて済んで、私は毎日ハッピーだった。
――アベカワには好きな女の子がいた。
同じクラスのショートカットの似合うすらりとした彼女。
別に私は彼が誰を好きでも気にしてなかった。
ホントに、全然。
でも…。
その日は朝からアベカワは体調が悪いみたいだった。
「風邪ひいたの?」
「ちょっとね」
顔色の悪いまま、アベカワは私の牛乳ビンを手に取った。
「ちょっ、気持ち悪いんじゃないの?大丈夫?無理して飲まなくてもいいよ…」
そう言った私に、彼は弱々しく笑顔を作った。
「飲みたいから飲むんだって、大丈夫!」
その笑顔を見た瞬間、私の心臓がキュッとなった。
なんでそんなに優しいんだろ……。



