――しばらくその場に立ち尽くしていた少年は、ゆっくりしゃがみ込んだ。


そして優しい手つきで手に持っていたコスモスを地面に置いた。


両手を合わせる少年。


少女がその少年を満面の笑みで見つめていた。


私は彼女の口が動くのを見た。


―ありがとう―


その瞬間、少女の姿がぼんやりぼやけて……


やがて消えた。