「久しぶりね、お姉さん」
少女から声を掛けてきた。
この前と同じ服装、同じポニーテール。
「まだ、花を待ってるの?」
「うん…なかなか来てくれないの」
少し寂しそうな笑顔を見せた彼女を見て、私は胸が痛くなった。
こんなに健気に毎日待ってるのに、姿を現さない相手に少しだけ腹が立った。
「ねぇ、あなたの待ってる人の名前は?」
「……夏樹、っていうの」
恥ずかしそうに、はにかんで言う少女を見て、なんだかくすぐったい気持ちになった。
かわいいなぁ、若いっていいことだ。
なんて年寄りくさい思考。
私が笑って少女の横顔を見た時、彼女の顔に緊張と嬉しさが溢れた。
「来た……」
泣き出しそうな笑顔で少女が小さく呟いた。



