母親に手を引かれ、この家の門の前に立った時、確かに雨が降っていた。


傘を差すほどでもないパラパラと降る雨に、それでも僕の髪や肩はしっとりと濡れていた。


「あの時、姉さんが僕の頭や肩を拭いてくれたよね……」


カヤノは優しく僕の頭にタオルを当てて、髪を拭いてくれた。


3年前。僕がこの家にやって来て、カヤノと姉弟になった時。


あの時僕は13歳。
姉は15歳だった。


「思えばあの時から始まっていたのかも」


姉はぽつりと言葉を唇からこぼした。