「それで、そのあと…紅月は?」


「散らばったノートを全部拾ってくれて、国語準備室まで運んでくれたの」


「やっぱり優しいね~、アイツ。女子から圧倒的な支持を集めてるだけあるよ。もしかして、莉彩ちゃんも惚れちゃったりした?」


「えっ!?そ、それは無いよ」


「本当?あやしいなぁ…」


「ほ、本当だってば!それより、神楽くんたちは紅月くんと同じ中学だったりする?」


ニヤリと不敵な笑みを向けられた私は、咄嗟に話題を変えた。


このままだと、“私が好きなのは壱夜くんだよ”と口にしてしまいそうな気がしたから。


現時点で告白しても、“無理”という一言で呆気なく振られてしまう結末が容易に想像できる。


自分の気持ちを伝えるには、まだ時期尚早だ。


「いや、俺と壱夜は…紅月と別の中学だったよ。今もクラスが別だから、殆ど話す機会は無いな。壱夜に至っては、今まで紅月と一度も話したことないと思うよ」


えっ……?