「今日、比較的あったかいよね~!小春日和って感じで」


「うん、そうだね」


壱夜くんたちの傍で腰を下ろした私。


お弁当を広げていると、不意に神楽くんが私の肩の辺りに顔を近付けてきた。


「あれ?莉彩ちゃんって、香水つけてたっけ?なんか、甘い香りがするけど」


「ううん、何もつけてな………あっ!」


私の頭に、さっきの光景が浮かんだ。


「もしかして、紅月くんに助けられた時に……」


「えっ、紅月?どういうこと!?」


神楽くんは大きく目を見開く。


興味たっぷりの視線を注がれた私は、肩をすくめた。


「実は、ノートを運んでる途中で紅月くんとぶつかっちゃって…。その時に、私が後ろに倒れそうになったところを紅月くんが腕を掴んで引き寄せてくれたんだ」


「へ~、さすが王子だね」


感心しながら頷く神楽くんに対して、スマホの画面ばかり見ている壱夜くん。


眉間にシワが寄ってる…。


難しいゲームでもやってるんだろうか…。