「こっちは、碧瀬さんがヤバいことに巻き込まれたら大変だと思って、アイツが危険人物だってこと教えてあげたのに、何で聞き入れないわけ?」


「あの…」


「碧瀬さん、ちょっとおかしいんじゃない?」


女の子は冷たく私を睨んだ。


「あっ!もしかして、碧瀬さん…実は不良だったりして。転校してきたのも、前の学校で何か問題を起こして、学校に居られなくなったからじゃないの?」


「…………」


「清純そうな顔して、裏では黒河内くんみたいに万引きやら恐喝やら、ヤバいことしてるんでしょ…?」


ギュッと手を力強く握りしめる。


私は、薄らと冷ややかな笑みを浮かべる女の子を真っ直ぐ見つめた。


「私のことは、どう思ってくれてもいい。だけど、壱夜くんのことでデタラメなことを言うのは止めて欲しい」


「は?」


「あなたも他の人たちも、誤解してる。本当の壱夜くんは………っ…!?」


その時、突然…背後から伸びてきた手に口を塞がれる。


誰…?


戸惑っていると、茶髪のボブヘアーの女の子の顔が、みるみるうちに青ざめていった。