誰…?


顔を上げた私は、目を見開く。


「えっ、壱夜くん…!?」


まさか、こんなところで会うとは思っていなかっただけに、心臓が止まりそうなほどビックリしてしまった。


「うわ、誰かと思えば碧瀬かよ」


壱夜くんは眉間にシワを寄せて、不機嫌そうに顔を歪める。


あんな出来事があった後だから、当たり前と言えば当たり前の反応か…。


「なんで、アンタがここに居るわけ?」


「て、テスト勉強をしようと思って、それで図書室に…」


「は?この部屋、古書室だけど」


「えっ…?でも、扉の上に“図書室”って書かれたプレートがあったような…」


「ちゃんと“古書室”になってるし。単に碧瀬の見間違いだろ」


そうだったのか…。


どうりで、図書室っぽくない雰囲気だと思った…。


「ったく、バカなヤツ」


呆れたように溜め息を吐く壱夜くん。


帰ってしまうのかと思いきや、私の方へと近付いてきた。




「……昨日は、悪かったな。少し言い過ぎた」