「それ、俺のせい」
「えっ…」
「昔、初恋の女の子の存在をうっかり口にして、桃舞に色々と詮索されたことがあったんだ。でも、あの時の思い出は自分だけのものにしておきたかったから、適当に話を作ってやり過ごした」
「それじゃあ、どこで私たちは……」
「星想川の花火大会」
久しぶりに聞いた名称に懐かしさが込み上げる。
昔、私が住んでいた地域の近くで開催されていた花火大会だ。
「俺の母さんの実家が星想川の近くで、小1の夏休みに初めて家族そろって帰省して、花火大会に行ったんだ」
小1の夏。
私にとっては、お父さんと一緒に行った最後の花火大会。
あの時の思い出が頭の中に蘇った。
「でも、その際に母さんとはぐれたんだ。探し回ってたら中高生ぐらいの男たちに絡まれて突き飛ばされて倒れた。何も出来ずにいた時、助けに入ってくれたのが莉彩だった」
そう言えば…
お父さんと屋台を見て回っていた時に、私と同い年ぐらいの男の子が突き飛ばされたところを目撃して…
見てみぬフリなんか出来なくて、何とかしたい一心で駆け寄って…
気付いたら柄の悪そうな男の子たちに向かって啖呵をきってたんだよね…。


