私ってば、何言ってるの…!?
話を聞きたくないと言っておきながら、自分から切り出すなんて…。
高ぶった感情の勢いで、本音を口走ってしまった。
いたたまれない気持ちになった私。
昇降口へ向かって駆け出そうとしたけれど、壱夜くんに手首を掴まれて引き留められてしまった。
「多分…俺が話したいこと、莉彩が想像してる内容とは違う」
「えっ…」
戸惑う私に構わず、壱夜くんは手を引いて昇降口とは違う方向へと歩いていく。
そして、到着した場所は屋上だった。
校庭では企画や出し物の表彰をしているらしく、拍手や歓声が聞こえてくる。
そんな楽しそうな雰囲気とは反対に、私たちの間には少し重い空気が流れていた。
「俺の話をする前に聞きたいことがあるんだけど、さっき言ってた“あの子”って誰のこと?」
私の手を離すことなく、壱夜くんが口を開く。
こうなってしまったからには、もう素直に打ち明けるしかない。
私は、少し前に壱夜くんが駅前で他校の女の子と一緒にいるところを見たことを話した。


