初恋のキミは最愛ヒーロー


なぜなら…


壱夜くんの隣に、あの他校の女の子が居たからだ。


私たちの文化祭用のTシャツを着ているけど、スカートは隣町の女子高のものを履いている。


でも、周りの生徒はステージの方に視線を向けていたり、友達同士で喋るのに夢中で他校生の存在に誰も気付いていない。


どうして、あの子が…。


いや、答えなんて一つしかない。


壱夜くんに会いに来たんだ。


よく見たら、傍には桃舞くんと玲音くんもいるから、私たちに紹介するつもりなんだろうな…あの子のこと。


“コイツ、俺の彼女なんだ”なんて少し照れたような笑顔で話すんだろうか。


そうしたら私は、“良かったね”とか“お似合いの二人だね”って素直に言える?


壱夜くんとあの子の幸せを喜べる?


その瞬間、ズキンと胸が痛む。


少し後退りをした私は、壱夜くんたちがいる方に背中を向けて、校舎へと走った。


無理…。


平常心でいられるわけがない。


絶対に笑顔で受け入れられない。


だって、まだ壱夜くんが好きで好きでたまらないから。


教室まで戻って来た私は、肩で息をしながら溢れそうな涙を拭った。