初恋のキミは最愛ヒーロー


その後、お昼で宣伝活動を終えた私は制服に着替えて、午後のフリー時間へ。


桃舞くんたちのお化け屋敷や他の教室の企画を端から全て見ていこうと計画していたものの…


壱夜くんの話の内容が気になって、ただ校内をボンヤリと歩いてまわるだけで終わってしまった。


教室に戻る途中。


図書室の前を通りがかったタイミングで流れてきた“校庭へ移動してください”という校内放送。


とうとう後夜祭の時間か…。


生徒が移動し始める中、私は立ち止まって深呼吸をした。


大丈夫。


ちゃんと平常心を貫ける。


そう言い聞かせて、ゆっくりと足を踏み出した。


教室に立ち寄らずに、このまま校庭に向かおうかな。


その方が近道だし。


楽しそうに会話をしながら歩いていく生徒たちの波に呑まれながら校舎の外へ。


たくさんの生徒で賑わう校庭にやって来た私は、辺りをグルリと見回した。


きっちりとクラス毎に集まってるって感じではなさそう。


壱夜くん、どこにいるかな…。


生徒が多いから見つけるのに時間がかかるかもしれない。


そう思いながら探していると…


「あっ…」


数メートル先の人混みの中に壱夜くんの姿を見つけた私。


傍へ行こうとしたけれど、途中で足を止めてしまった。