初恋のキミは最愛ヒーロー


壱夜くんが私に話したいことって、なんだろう…?


表情から察するに、他愛ない話とかではなさそうだし…。


もしかして…


この前、駅前で目撃した他校の女の子のことかな…?


あの子が壱夜くんの初恋の女の子で、付き合うことになったっていう報告だったりして。


もちろん、それ以外の話かもしれないけど考えられる可能性の一つではあるよね。


「………」


私のこと、恋愛対象として好きになってくれたのかもしれないって…


そういう話じゃないか…って、ほんの一瞬だけ期待してしまった。


振られてるんだから、そんなこと有るわけないのに。


いつもよりも優しく接してもらったからって、自意識過剰だよ。


叶わない恋に夢を見ているなんて、何考えてるんだろう…私。


舞い上がり気味だった気持ちが一気に冷めていくのを感じた。


私、壱夜くんの話を冷静に聞けるかな…。


なんだか憂鬱になってきた。


まだ後夜祭まで時間もあるし、普段どおりに振る舞えるように心を落ち着かせよう。