どうしよう…。
ライブの歌声も観客の歓声も聞こえないぐらい心臓の音がうるさい。
落ち着かないと…!
「わ、私…校舎をもう一回まわって宣伝活動してこようかな。ここで少し休んだことだし、お昼までは頑張らなきゃ!」
“じゃあね”と呟いて立ち去ろうとした時、壱夜くんに腕を掴まれる。
「莉彩」
「私なら大丈夫だよ!今度はちゃんと男の人には警戒心を持って接するから」
俯きながら答えると、傍に引き寄せられた。
「……そうじゃなくて、後夜祭」
「えっ…?」
「最初に企画の表彰とか生徒会長の挨拶とかあって、その後はキャンプファイヤーとかライブとかで自由な時間になるだろ?」
「う、うん…」
「その時間、俺がもらってもいい?」
顔を上げると、壱夜くんと視線が重なる。
「お前に話したいことがあるんだ」
今まで見たことないぐらい真剣な瞳に驚きながらも、私は静かに頷いていた。


