「ったく、警戒心が弱いヤツ」
「すみません……」
「でも、守れて良かった」
驚くほど優しい眼差しを向けられてドクンと心臓が跳ねた。
ドキドキしちゃダメだ。
平常心でいなくちゃ。
「そ、そう言えば壱夜くんはどうしてここに?」
「シフト変更があって、午前中がフリー時間になったから。ちょっと中庭に行ってみようと思って来た」
「そうなんだ…」
うぅ……。
その後の会話が続かない。
壱夜くんとは距離を置かなきゃって思えば思うほど、何を話せばいいのか分からなくなる。
「莉彩」
「ん?」
「朝…言えなかったんだけど、その格好…よく似合ってる」
「そ、そうかな…。馬子にも衣装って感じがするけど」
「そんなことねぇよ。ヤバいぐらい可愛い」
その言葉に、顔が瞬時に熱くなった。
玲音くんや桃舞くんに“可愛い”と言われた時よりも、もっと熱い。
顔から火が吹き出しそう。
私は慌てて俯いた。


