「勝手なこと言ってんじゃねぇよ」
「なんなんだよ、お前。関係ない人間が口出しすんな」
さっきまでの爽やかな雰囲気が消えた男の人たち。
不機嫌そうな顔で壱夜くんに詰め寄る。
でも、そんな2人に動じることなく壱夜くんは鋭い眼光を向けた。
「大いに関係あるから口出してんだよ。これ以上グチグチ言うなら、俺も手加減しないけど?」
そう冷たく言い放つと、掴んだままだった男の人の手を捻りあげる。
「痛っ…!!わ、分かったよ!案内はもういいから離せ!」
壱夜くんは、男の人が顔を歪める姿を冷ややかな目で見た後、手を離した。
「…ったく、邪魔しやがって」
舌打ちしながら、足早に去っていく男の人たち。
今のは、なんだったの…?
首を傾げていると、壱夜くんからため息が聞こえてきた。
「相変わらず、莉彩は危機感が足りねぇな」
「危機感?で、でも…あの人たちには教室までの道案内を頼まれただけだよ?」
「あんなの口実に決まってんだろ。あのまま素直についていってたら、アイツらに何されてたか分からねぇんだぞ」
「そ、そうなの…?」
ポカンと口を開けて固まっていると、壱夜くんは苦笑いを浮かべた。


