初恋のキミは最愛ヒーロー


「お誕生日おめでとう…!」


「ありがとう!」


「桃舞くんが誕生日だって知らなくて、プレゼント何も用意してないんだ…。ごめんね」


「ううん、お祝いの言葉をもらえるだけで凄く嬉しいよ。じゃあ、邪魔しちゃいけないから俺たち行くね。時間があったら4組にも遊びにおいでよ!午後は俺らお化け役やってるから」


そう言えば4組はお化け屋敷だったっけ。


「うん!遊びに行くね」


笑顔を返すと、玲音くんは私をジッと見つめる。


どうしたんだろう…と首を傾げると、耳元に顔が近付いてきた。


「今日の碧瀬はいつも以上に可愛いから、変な男にさらわれないように気をつけて」


「えっ…」


予想外の言葉に驚いて瞬きを繰り返す。


そんな私を見てフッと笑った玲音くんは頭をポンポンと撫でると、桃舞くんと一緒に家庭科室の方へと行ってしまった。


変な男なんていないと思うけど…。


万が一、前みたいに不良に絡まれそうになったら、その時は頑張って逃げよう。