その後、ケーキを食べ終えた俺は、帰る前に莉彩の部屋へ。


ベッドの傍に置きっぱなしにしていた自分の荷物を持つと、莉彩に視線を向けた。


まだ顔色は良くないけど眠れているみたいで良かった…。


起こさないように気をつけながら額にのせてあるタオルをゆっくりと裏返した。


「……」


莉彩に出会って間もない頃から、笑顔が初恋の女の子に似ていると思っていた。


雨の日の帰り道、泥がついてしまった俺の顔をハンカチで拭ってくれた時の言葉もそうだ。


あの子にそっくりだと思ったけど、名前も違うから完全に別人だと思っていた。


だけど今日、色んな事実を知って全てが繋がった。


初恋の女の子は莉彩だったんだ。


「ずっと、会いたかった」


誰よりもカッコよくて心優しい


俺を助けてくれたヒーローのキミに。


どこかでまた会える奇跡を願い続けてきたから、叶ったのは本当に嬉しい。


次に会う時には、ちゃんと伝える。


“莉彩のことが好きだ”って。


一度、莉彩を振ってしまっているから、今さら告白しても想いが通じる可能性は低いけど…


そうなったら、また振り向いてもらえるように頑張ろう。


眠ってる莉彩の髪を掬った俺は、そっと触れるように口づけた。