最近、一部の女の子たちの間で“私と玲音くんが付き合ってるんじゃないか”という噂が流れているらしい。


ストレートに聞いてくる女の子には、ちゃんと否定しているけど、すぐには収まらなさそうだ。


こんな噂が流れてるのを快く思ってないかもしれないよね、玲音くん。


申し訳ない気持ちでいっぱいになっていると予鈴が鳴り響いた。


周りを囲んでいた女の子たちも各自の席へと帰っていく。


私も席に戻ると、壱夜くんは数学のテキストを無表情で読んでいた。


壱夜くん、さっきまでの会話を聞いてなさそうな感じだな。


別に興味もないだろうし、当然か。


何か少しでも反応してくれたら…なんて、心のどこかで淡い期待を抱いてしまっていた。


フラれてるくせに、思い上がるのもいい加減にしろって感じだよね。


バカみたい。


私は唇を噛みしめながら、しばらく窓の外を眺めていた。