「ごめん、桃舞」


俺が後悔しないためのアドバイスをしてくれたっていうのに。


背中を押してくれようとしたのに。


俺は、自分の選択を覆すつもりはない。


たとえ、莉彩が他の男を好きになって、ソイツと付き合うことになったとしても。


その様子を複雑な気持ちで見守ることになったとしても。


初恋に決着をつけるまでは、新しい恋には踏み出せない。


莉彩。


勇気を振り絞って俺に想いを伝えてくれたのに、身勝手な理由で傷つけて本当にごめん。


最低だな、俺。


唇を強く噛みしめて堅く拳を握る。


夕日に照らされた自分の影を見つめながら、しばらくその場に立ち尽くしていた。