「はぁ……」


壱夜くんに自分の気持ちを伝えるって決意したのに……


実行に移せないまま、一週間が経ってしまうなんて。


机に頬杖をつきながら、窓の外に広がる景色をボンヤリと眺める。


“好き”


この二文字を好きな人に伝えることが、こんなにも難しいとは思ってもみなかった。


とりとめのない会話は普通に出来るのに、告白をしようとすると、たちまち心臓がバクバクと大きな音を立てて鳴り始める。


今まで経験したことのないような緊張に襲われるんだ。


紫葵ちゃんはスゴいな。


きっと緊張したはずなのに、それを乗り越えて夜本君に告白したんだから。


よし、私も見習って頑張らなくちゃ!


心の中で意気込んでいた時だった。



「……おい、莉彩」


「ひゃっ!!」


いきなり耳元で名前を呼ばれた私。


悲鳴に近い声を上げながら立ち上がると、両耳を塞いで顔を歪めている壱夜くんの姿が目に映った。