「ん……」


ゆっくり目を開けると薄暗い視界に見慣れない天井が映る。


体を起こして周囲を見回した私は、“あっ!”と小さく声を出した。


そ、そうだ…!


昨日、壱夜くんにお父さんの話をして、ひたすら泣き続けて…


そのまま、ここで眠っちゃったんだ…。


「莉彩、もう起きたのか」


その声に反応して視線を動かすと、壱夜くんが欠伸をしながらリビングに入ってくる姿が映った。


「昨日は迷惑かけてごめんね…。自分の過去の話を長々として思いっきり泣いた上に、家に泊めてもらっちゃって…」


「別に迷惑だとか思ってねぇから。謝る必要は一切ない」


「でも……」


「んなことより、ちゃんと眠れたか?」


壱夜くんは私の傍まで来ると、心配した様子で顔を覗き込む。


「う、うん…。ぐっすり寝たよ」


「それなら良かった」


安心した…と言わんばかりに表情を和らげる壱夜くんにドキッと胸が高鳴った。